昭和の版下制作

すべては、コンマ1ミリのロットリンクペンから始まる。三角定規ふたつ使いで台紙に3ミリ出しのトンボを描き、「アタリ罫」を引く。 そして 、ピンセットでつままれた ペーパーセメント付き写植文字たちを次々と着地させて行く 。飾り罫線や口ゴマークなどは、トレスコープで原本から紙焼きしていた。マップのトレースは、厚手のトレーシングペ ーパーに渉み防止のため砂消しゴムをかけて、下描きを口 ットリングやカラス口で な- ぞって行く 。写真部分には「アタリ」のコピーを貼って、現物の写真にトリミンク指定をして添付。でき上がった版下に卜レーシングペーパーをかけるときは、いつも達成感に包まれたものだった。

 

アドビシステムズが果たした役割

デザインや印刷・出版の進化を語るとき、アプリケーションの存在を無視することはできません。特にアドビシステムズは、全世界でDTPの発展に大きく貢献し、紙媒体だけでなく、 webや映像においてもクリエイター達に無限の可能性を与えていました。アドビのポストスクリプト( postscrlpt)という技術が、 DTPに果たした役割は大きく、高品位の印刷を可能にし、「印刷物はパソコ ン上で作るもの」というDTPの概念を生み出しました。 文字や図形、画像とそれらの属性やぺー ジ内での位置情報を指定することができます。文字の場合にはフォントの種類や大きさ、字飾りなど、図形の場合には直線や円のほか、自由曲線などを表現することが可能になっています。アメリカで最初のバージョンが登場し、 90年にはカラー印刷や日本語対応のバージョンが発表されました。

ポストスクリプト言語は、同じアドビのイラストレーターやフォトショップ、インデザインなどのアプリケーションにも多用され、 DTPのデータ作りの進化に大きく貢献してきました。 歴史を見ると、イラストレーターが発表され、 翌年にはフォトショップが発表されました。